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LAB OS — PART Ⅲ 研究室の運用 | CHAPTER 07

鈴木(杏)研は何を研究するか

What We Study — 自然と人の「つながり」を理解し、ワクワクする未来を設計する
ここから第Ⅲ部 研究室の運用|Practice。ここからは鈴木(杏)研の話です。前提は4つの価値:自律(自分の状態・限界・感情に気づき、判断と責任を持つ)/ 誠実さ(分からないと言える。失敗や限界を正直に共有する)/ 敬意と対話(他人の時間を大切にし、違和感を対話に変える)/ 共探究(他人の問いを自分事として考える)。07 何を研究するか / 08 学年別のゴールと計画 / 09 研究活動の5階層構造 / 10 必須習慣と文化

私たちが扱う「つながり」

第Ⅲ部は、ここまでの原理と設計を、鈴木研ではどう実装しているかの話です。最初に、私たちが何を研究しているかを述べます。

どれも直接は見えません。見えない構造を読み解き、行き先を設計することが私たちの仕事です。

なぜ地熱と社会なのか

地熱は、見えない構造(技術的な不確実性)と見えない想い(社会的なフレーム)の両方を含むフィールドです。地下をどれだけ正しく推定できても、地域の納得がなければ開発は進みません。逆に、対話だけでは地下は動きません。

だから私たちは、地下の探究と社会の探究を同じ問いの形で扱います。観測から原因を推定し(What / Why)、目的から手段を設計する(How)。02章の軸で言えば、理学的な理解を「わからなさを含んだまま」工学的な設計に渡す二段構えです。この二段は、地下でも社会でも、そして自分自身のキャリアでも同じです。

地熱は目的ではなく、探究のための最良のフィールドです。ここで得た方法論は、他の自然・社会システムにも展開できます。

私たちの立場:理解より、設計に使えるか

02章で、理学的な問いは受動的探究(理解)で着地し、工学的な問いはその上に能動的探究(設計)を重ねると述べました。鈴木研は後者に重きを置きます。現象を理解すること自体より、その理解が設計にどう使えるかを問います。だから、理解の細部で「雑に済ませるところは雑」と感じることがあるはずです。設計に効かない精度は追わない、という判断をしているからです。

これは個人差が出るところで、指導教員に合わせる必要はありません。理解そのものに価値を置く人も研究室にいてよい。ただし、自分がどちらに重きを置いているかは言えること。そして、共同研究者や指導教員との相性は、この立場の近さで決まることが多い、と知っておいてください。

フレームを疑う探究:この研究室の研究対象

02章は、目標と前提が与えられた中で最適な手段を探す「解決のサイクル」を扱いました。そこで外に置いた「探索のサイクル」——目標そのものや前提そのもの、問題を捉えるフレームを疑い、作り直す探究——が、Team Society の研究対象です。

Schön が指摘したように、何が問題で何がその解決かは、問題を捉えるフレームに依存します。発電事業者にとって合理的な開発計画が、温泉事業者には受け入れられないのは、論理が間違っているからではなく、フレームが違うからです。鈴木らは、Peirce の論理学・倫理学・美学の区別を使って、フレームとは倫理学的次元(何を事実とし、何を願うか)と美学的次元(何をどう感じるか)の探究対象であり、それを意識的に疑うことがリフレーミングだと整理しました(鈴木・山口・柳澤 2025)。

つまり、この研究室では、地下の探究(受動)、開発の設計(能動)、そしてフレームの探究(リフレーミング)を、すべて同じ探究の形式で扱おうとしています。Team Rock が前二つを、Team Society が三つ目を主に担い、両者は「見えない構造を限られた観測から推定し、わからなさを引き受けたまま次に渡す」という問いの形を共有します。

だからチームを跨いで Paper Card が通じ、Lab Forum で互いの研究に口が出せます。

研究テーマ

具体的なテーマと進行中のプロジェクトは研究室 HP をご覧ください。→ Research — DeSFE Lab

何を学べばよいか

研究を進めるために知っておくべき学問と授業、いつまでに何を、は付録 07-A 学びの地図に。Paper Card のどこで止まっているかから逆引きできます。

この章のまとめ:扱うのは「見えないつながり」 / 地熱は目的ではなくフィールド / 理解を設計に渡す二段構え / 2チームは同じ問いの形を共有する / 設計に使えるかを問う / フレームの探究は Team Society の研究対象