Quarter Plan は、3ヶ月ごとに「問い・目標・逆算設計」を言語化するドキュメントである。 自律と構造的思考のための習慣。ミーティング前だけ動くのは、自律が弱いサイン。
研究はマラソンです。しかし1年単位の計画は長すぎて構造のズレに気づけず、週単位の予定は短すぎて戦略になりません。90日は、構造のズレが早期に見え、かつ戦略が立てられる単位です(Lab OS 08「学年別のゴールと計画」)。
もう一つの理由は、学生の1年が研究だけでは構成されていないことです。院試・中間審査・修論提出・卒論発表——動かせない外部イベントが研究時間を圧迫します。だから計画は積み上げではなく、固定イベントからの逆算で設計します。
そして最も大事なこと:Quarter Plan は教員に見せるための進捗報告書ではありません。自分の思考構造を自分で可視化する文書です。教員を待たずに「自分の現在地」を言語化する——この練習の積み重ねが、自律した研究者をつくります。
タイトルは「名前 学年_Quarter」(例:Anna Suzuki M1_Q1)。書くのは以下の6つです。
| Section | 内容 |
|---|---|
| 0|前Quarter振り返り | 前回の Goal と Milestones の評価・達成できたこと・できなかったこととその理由・新たに生まれた違和感(最初の Quarter は不要) |
| 1|位置づけ | 卒業・修了までのロードマップ上で、この Quarter はどこか。現在の Core Question(1文)。今どの Phase か(Idea / Framing / Figures / Draft / Submission) |
| 2|Quarter Goal | この3ヶ月で何を達成するか——英語1文+その理由・背景+成功の定義 |
| 3|Monthly Milestones | 月ごとの逆算テーブル:やること・達成の目安・(Quarter末に)評価 |
| 4|習慣ログ | Research Log(毎日)・Thinking Log(毎週月曜)・Paper Card 更新(毎週)の現状 |
| 5|研究室へのフィードバック | ミーティング体制・研究室運営・環境への意見や提案 |
Phase と習慣ログの項目が Paper Card や Research Log と同じ言葉で書かれていることに注目してください。Quarter Plan は独立した書類ではなく、Lab OS の道具たちを90日の時間軸の上に並べる役割を持っています。
個別面談は四半期に一度。やることは研究軸の確認・成長の振り返り・キャリア設計・状態確認(迷い・負荷)。やらないことは技術的議論・原稿の細部チェック・日常的な進捗報告——それらは Team Meeting の仕事です(Lab OS 09:場の目的を混ぜない)。
| Quarter | 時期 | 基本テーマ |
|---|---|---|
| 🌸 Q1 | 4–6月 | 年間設計・逆算ロードマップ |
| 🏖️ Q2 | 7–9月 | 仮説検証(B4は院試と並走) |
| 🍂 Q3 | 10–12月 | 図と Draft・学会/審査 |
| ❄️ Q4 | 1–3月 | 提出・発表・次年度設計 |
1年を4つの90日に分け、固定イベントから逆算して設計する——このリズム自体が、Lab OS の「マラソンをスプリント設計で走る」の実装です。
Quarter Plan の Section 1 で最初に参照するのが、学年ごとのロードマップです。ロードマップは進捗管理表ではありません。「いつ、何のために、何をするか」の構造を理解するための地図——自分の Quarter がこの地図のどこにあるかを確かめてから、Quarter Goal を立てます。
| 学年 | ミッション | 面談で確認されること |
|---|---|---|
| B4 | 1サイクルを経験する | 研究を1文で説明できるか。詰まりを言語化できるか |
| M1 | 研究を設計する | Framing は進んでいるか。2月セミナーから逆算できているか |
| M2 | 研究を完走する | 1月提出への逆算は現実的か。図は凍結できるか。何から逃げているか |
| D1 | 軸を定義する | 研究軸を1〜2文で書けるか。追わないトピックを宣言できているか |
| D2 | 軸を証明する | 論文群は一貫しているか。ノイズ論文を切れているか。投稿計画はあるか |
| D3 | 言語化して出す | 博論背骨3文は書けるか。削る対象を宣言できるか |
B4のゴールは「完璧な研究」ではありません。研究の全体像を1回経験することです。固定イベント(5月上旬 TOEIC申込 → 7月上旬 院試出願 → 8月 院試 → 2月 卒論発表 → 3月 卒論提出)から逆算します。
よくある崩れ:「院試があるから」と研究を完全に止める/分からないことを黙る/完璧な図を待ってから手を動かす。Quarter Plan はこれを防ぐための装置です。
M1は「設計する」年。ミッションは、Framing を完成させ、M1 2月の分野横断セミナーで専門外の人に研究の価値を伝えられる状態にすることです。
M2は「完走する」年。言い訳を作らない。修論提出(1月末)から逆算した死守ラインが決まっています:
7月末 図の凍結 → 8月末 Draft-A → 10月末 Draft-B → 11月末 中間審査 → 12月末 チーム内提出 → 1月 修論提出 → 2月 発表
よくある崩れ:まだ図を増やそうとする(→「既存の図で代替できないか」を先に問う)/書くより実験を優先する(→ 図が凍結されたら翌日から Draft)/タイムラインを直視しない(→ 毎月1回、逆算表を更新して現実とのギャップを見る)。
博士の3年間は、学年ごとにミッションが明確に異なります。
よくある崩れ:軸が定まらないまま実験だけ進む(D1最大の罠)/投稿・削る決断の先延ばし(→「残したい気持ちがあるものほど削る候補」)。
どのロードマップにも、同じ習慣の表が載っています。これはタスク管理ではなく、探究の姿勢を保つための習慣です(Lab OS 10)。
| 習慣 | 頻度 | 目的 |
|---|---|---|
| Research Log | 毎日 | 思考の痕跡を残す |
| Thinking Log | 毎週月曜 | 週単位で問いを更新する |
| Paper Card 更新 | 毎週 | 論文の現在地を把握する |
| Core Question 書き直し | 毎月 | 問いが変化していることを記録する |
Quarter Plan の Section 4(習慣ログ)は、この習慣が回っているかを四半期ごとに自分で点検する場所です。
研究室メンバー:Quarter Plan は Notion のデータベースで管理しています。新しい Quarter が始まったら、DB 内のテンプレートから作成し、タイトルを「名前 学年_Quarter」に変えて記入してください。個別面談の前日までに提出がルールです。
🗓 Quarter Plan DB を開く(メンバー限定)※ DB の閲覧・編集は研究室メンバーのみ。ログインが必要です。学年別ロードマップの全文も研究室 Notion にあります。
研究室外の方へ:構成はこのページに書いたとおりです。「固定イベントからの逆算」「90日単位の Goal と月次マイルストーン」「Quarter 末の正直な振り返り」——この3点が本質で、ツールは何でも再現できます。